東京地方裁判所 昭和50年(わ)618号 判決
本店所在地
東京都新宿区二丁目一九番一三号 サカゼンビル内
東京連合印刷株式会社
(右代表者代表取締役山浦喜三夫)
本籍
東京都保谷市新町四丁目四一二番地
住居
同郡同市新町四丁目一二番三六号
会社役員
山浦喜三夫
昭和二年八月八日生
右両名に対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官米澤慶治出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告法人東京連合印刷株式会社を罰金一、八〇〇万円に、被告人山浦喜三夫を懲役一〇月に各処する。被告人山浦喜三夫に対し、この裁判の確定した日から二年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告法人東京連合印刷株式会社(以下被告会社という)は、東京都新宿区新宿二丁目一九番一三号サカゼンビル内(昭和四七年一一月二七日以前は同都千代田区麹町三丁目二番地相互第一ビル内)に本店を置き、出版物等の印刷、企画、製作等を営業目的とする資本金一、〇〇〇万円の株式会社であり、被告人は、右会社の代表取締役社長として被告会社の業務全般を統轄しているものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外し、あるいは架空外注費を計上して仮名預金を設定するなどの方法により所得を秘匿したうえ
第一、昭和四六年四月一日から同四七年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得が一億一、六九四万八、六五二円あつたのにかかわらず、昭和四七年五月三〇日、東京都千代田区神田錦町三丁目三番地所在所轄麹町税務署において、同税務署長に対し、所得金額が五、五二八万七、一四八円であり、これに対する法人税額が一、九四四万一、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の方法により同会社の右事業年度の正規の法人税額四、二〇九万九、六〇〇円と右申告税額との差額二、二六五万八、一〇〇円を免れ(修正損益計算書、税額計算書は別紙(一)(三)のとおり)
第二、昭和四七年四月一日から同四八年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得が二億四、九八九万六、六一二円あつたのにかかわらず、昭和四八年五月三〇日、東京都新宿区三栄町二四番地所在所轄四谷税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一億一、六五八万六、八九一円であり、これに対する法人税額が四、一六六万六、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の方法により同会社の右事業年度の正規の法人税額九、〇六五万六、〇〇〇円と右申告税額との差額四、八九八万九、五〇〇円を免れ(修正損益計算書、税額計算書は別紙(二)(三)のとおり)
たものである。
(証拠の標目)
判示全部の事実につき
一、被告人山浦喜三夫の検察官に対する供述調書
一、高津新作成の登記簿謄本
一、押収してある第五期、第六期総勘定元帳二綴(当庁昭和五〇年押第八七〇号の一、二)
一、押収してある確定申告書二通(当庁前同押号の三、四)
判示第一の別表(一)の〈1〉の事実につき
一、長尾義輝の検察官に対する供述調書
一、大蔵事務官佐藤清栄作成の「欅書房に関する収支計算調査書」と題する書面
一、武田秀紀の検察官に対する供述調書
判示第一の別紙(一)の〈4〉の事実につき
一、武田秀紀の検察官に対する供述調書および同人の収税官吏に対する質問てん末書
判示第一の別紙(一)の〈7〉、〈36〉および別紙(二)の〈38〉の事実につき
一、武田秀紀作成の上申書
一、松田稔の収税官吏に対する質問てん末書
判示第一の別紙(一)の〈34〉の事実につき
一、大蔵事務官佐藤清栄作成の「普通預金の各期末残高および受取利息の調査書」-以下普通預金調査書という-と題する書面および同人作成の「定期預金の各期分受取利息および受取利息に対する源泉所得税の仮払金、未払金に関する調査書」と題する書面-以下定期預金調査書という
判示第一の別紙(一)の〈41〉の事実につき
一、大蔵事務官佐藤清栄作成の「欅書房に関する収支計算調査書」と題する書面
判示第一の別紙(一)の〈45〉の事実につき
一、東条輝雄作成の証明書
判示第一の別紙(一)の〈54〉の事実につき
一、大蔵事務官佐藤清栄作成の定期預金調査書
判示第一の別紙(一)の〈55〉および判示第二の別紙(二)の〈62〉の事実につき
一、武田秀紀の検察官に対する供述調書
一、堤勘時作成の上申書
判示第一の別紙(一)の〈56〉の事実につき
一、大蔵事務官佐藤清栄作成の「欅書房に関する収支計算調査書」と題する書面
判示第一の別紙(一)の〈57〉および判示第二の別紙(二)の〈63〉の事実につき
一、被告人山浦喜三夫の収税官吏に対する質問てん末書
一、武田秀紀作成の上申書
一、大蔵事務官佐藤清栄作成の「欅書房に関する収支計算調査書」と題する書面
判示第一の別紙(一)の〈58〉および判示第二の別紙(二)の〈60〉〈64〉の事実につき
一、被告人山浦喜三夫作成の昭和五〇年二月二〇日付上申書判示第二の別紙(二)の〈1〉の事実につき
判示第二の別紙(二)の〈1〉の事実につき
一、武田秀紀の検察官に対する供述調書
判示第二の別紙(二)の〈6〉〈7〉の事実につき
一、大蔵事務官佐藤清栄作成の「貸付金の利息に関する調査書」と題する書面
判示第一の別紙(二)の〈34〉の事実につき
一、大蔵事務官佐藤清栄作成の普通預金調査書、定期預金調査書、貸付金の利息に関する調査書
判示第二の別紙(二)の〈61〉の事実につき
一、大蔵事務官佐藤清栄作成の定期預金調査書
(法令の適用)
被告会社の判示第一、第二の所為はいずれも法人税法一六四条一項、一五九条に被告人山浦喜三夫の判示第一、第二の所為は同法一五九条に各該当するところ、所定刑中被告人山浦喜三夫について懲役刑を選択し、被告会社山浦喜三夫につき、判示第一、第二の罪はいずれも刑法四五条前段の併合罪であるから被告会社につき同法四八条二項、被告人山浦喜三夫につき同法四七条本文、一〇条を適用し、犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告会社を罰金一、八〇〇万円に、被告人山浦喜三夫を懲役一〇月に処し、情状により被告人山浦喜三夫については刑法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から二年間右刑の執行を猶予することとする。
よつて主文のとおり判決する。
(裁判官 安原浩)
別紙(一)
修正損益計算書
東京連合印刷株式会社
自 昭和46年4月1日
至 昭和47年3月31日
〈省略〉
〈省略〉
〈省略〉
別紙(二)
修正損益計算書
東京連合印刷株式会社
自 昭和47年4月1日
至 昭和48年3月31日
〈省略〉
〈省略〉
〈省略〉
〈省略〉
別紙(三)の1
法人税額計算書
〈省略〉
〈省略〉
別紙(三)の2
法人税額計算書
〈省略〉
〈省略〉